冬アニメ後半戦――いやはや、佳境である。

注目タイトルもずずずいと並んでいる今期アニメだが、その中でも評価が高い五作に絞ってレビューしたい。すでに春アニメの到来も間近だが、今から「おさらい」するのもアリではないか。ちなみに筆者の来期注目タイトルは、PAの「サクラクエスト」なのだが…。

それはさておき、「けものフレンズ」「アイドル事変」「AKIBA’S TRIP -THE ANIMATION-」、「この素晴らしい世界に祝福を!2」「超・少年探偵団NEO」の5作を振り返ろう――!

■「けものフレンズ」――結局「何」アニメなのか?

Clipboard47登場する美少女化された動物たちが、いちいちキュートで可愛らしい今作。しかし、壊滅的な語彙とふわふわとした世界観が、むしろ不安な雰囲気さえ漂わせる、話題のアニメだ。

物語の舞台である巨大総合動物園・ジャパリパークは廃墟同然である。文明崩壊後の世界を描いたもののようで、エンディングでは放棄された遊園地の設備が次々と映し出されるという微妙な演出も――。時折インサートされる黒コマが、見る者の不安を煽ってくる。

主人公のサーバルちゃんも、「可愛い」だけでは終わらない存在だ。狩りごっこと称して猛スピードで迫りくるところなど、ちょっと怖い。前髪に印された「M」の文字も、何やらサイコスリラーを彷彿とさせる――まさか、「Murderer(殺人者)」の符号ではあるまいか

平和な作風の中に、そこはかとない「タナトス」を感じさせるストーリーテリングが絶妙だ。放送テレビ局長も太鼓判を押した、この「何」アニメとも言えない作品は、必見だ。

■「アイドル事変」――日本社会の閉塞を切り開くアイドルたち

Clipboard38行き詰った日本を変えるために国会議員となったアイドルたち。国民の笑顔を取りもドル為に奮闘するという、新たな切り口のアイドルアニメだ。国会議事堂の外観が出てくるアニメはこれまでにもいくつかあったが、今作では、その「中」にまで入っていっている。

疑問はいろいろある。アイドル議員とはそもそも何なのか。被選挙権年齢は? どうして歌とダンスで社会問題が解決してしまうのか――などなど。しかし、そんなものは、まあどうでもいい。国会議事堂で美少女アイドルたちが踊るという演出、発想が抜群である。

権力にくみすることなく弱者、少数派に手を差し伸べる主人公・星菜夏月は、公職者にはぜひともこうあってほしいという“理想的な倫理観”を体現している。ちなみにOPテーマの「歌え!愛の公約」の作詞・作曲はつんく♂が担当。このあたりで「差」が出ている。

■「AKIBA’S TRIP -THE ANIMATION-」――アキバ愛に溢れた作品

Clipboard39こちらはアクションアドベンチャーゲームの「AKIBA’S TRIP」シリーズをTVアニメ化したものだ。標榜するのは「かつてないディープ“アキバ”な作品!」。それもただのお題目に終わらない。協力店舗に名を連ねた企業は50社以上。リアルすぎる風景描写も魅力。

各エピソードで取り上げられる「オタク文化」も幅広くて深い。アキバといえば「アイドル」なんてのは狭いイメージだ。アマチュア無線、サバイバルゲーム、自作PC、トレーディングカードゲーム、フィギュア、ブラックバイト、プロレス――などなど多彩である。

第五話の演出も面白かった。ゲーム「ストリートファイター」のゲーム画面をそのまま使用するという、心憎いサプライズである。アキバ愛に溢れた作品と言えよう。

■「この素晴らしい世界に祝福を!2」――二期もさすがの完成度

Clipboard40大人気シリーズの続編だ。「角川スニーカー文庫」のファンタジー小説が原作。

今作はすでに説明不要だろうか? とにかくキャラの描写がイキイキとしている。美少女キャラの多さにはちょっと辟易とするが、まあそれはそれとしても、豪華声優の使い捨てぶりなどメタ的な面白さもいい。アニメファンなら確実に押さえておくべき一作だろう。

個人的には、雨宮天が声を当てた「アクア様」がやっぱり可愛かった。雨宮天も可愛い。

■「超・少年探偵団NEO」――質アニメならコレ

Clipboard41江戸川乱歩の「少年探偵」シリーズを原案としたアニメだ。

乱歩がこの世を去って50年。残された作品にアレンジを加えたものは次々と登場しているが、その中でも今作は異彩を放つショートコメディである。舞台は2117年の未来都市、東京。怪人二十面相と明智小五郎の戦いが、実に七代にまで渡って続いているという設定。

100年後の未来という時代設定を非常に巧く活かしているのも好印象である。二十面相のしかける攻撃は、明智のアンドロイドを作ったり、アニメの制作会社を乗っ取ってメタな攻撃をしかけたりと、バカバカしくも未来的なものばかり。畳みかけるような展開もいい。

さて、以上が冬アニメ注目タイトルのレポートである。
話題になっているのはもっぱら「けものフレンズ」だが、それ以外の作品にも目を向けてほしい。なかなか実りあるラインナップとなっている。来期も注目したいタイトルは山ほどあるが――それにしても、『君の名は。』がまだ上映していることに、ちょっと驚く。