俳優・山田孝之がカンヌ映画祭最高賞を目指し、実在の映画監督、俳優を巻き込んで、自分勝手に突き進む。そんな「ドキュメンタリー風」番組、『山田孝之のカンヌ映画祭』。

これが今、結構面白い。
これまでは、芦田愛菜に殺人鬼役をやらせたり、カンヌの常連監督・河瀬直美に、カンヌに寄せたそれっぽい映像を見せて叱られたり、村上淳に首吊りの特訓をさせておいて歌が下手だとすぐに解雇したり――もうとにかく「イカれてる山田孝之」を堪能させてくれた。

そして、前回のラスト。打ち合わせ中に突如として、長澤まさみが現場に――!?

■「第10話 長澤まさみ 悩む」でまさかのヌード!?

Clipboard13現場にやってきた長澤まさみだが、聞かされているのは、芦田の母親役、というところだけ。山田自身とも久々に会うし、楽しみにしてやってきたらしいが、まだ詳しいことは何も知らない。そんな彼女に、番組のコンセプトと、特殊な撮影方法に関して説明される。

・あらすじ
父親と娘・らいせ(芦田)を殺そうとした母親・さちこ(長澤)と、その愛人・北村(オーディションで選んだ一般人)に、奇跡的に助かったらいせが、復讐を遂げる物語――。

そしてその撮影方法は、漫画界の奇才・長尾謙一郎による、十数枚からなる絵から“イメージ”して、台本なしで撮影するという山田オリジナル。なんという前衛的手法か!?

しかし、そんなとんでもないリクエストにも応じてしまうのが、さすがの長澤まさみ。絵からイメージして台詞も自分ですべて作り、それだけで作品の空気を演出してしまう凄さ。

が、順調にいくと思われた作品に、ここで問題が生じる。

ベッドシーンのリハーサルをする直前。山田と映画監督・山下敦の会話から、「今日は脱がせちゃダメ」というような剣呑な内容が漏れてくる。そこで長澤も不安になったか、「質問なんですけど、なんかこう、そういうシーンって、見えない感じ…ですよね?」と問う。

しかし山田と山下は、
「体がですか?」
「見えない?」
「プライド……?」
と、ちょっと空とぼける。ついには大女優・長澤に、「局部みたいなものが…」とまで言わせるのだから、まるで間接的な言葉責めだ。長澤本人は、その漫画の絵を見て、「あくまでイメージ」と思っていたらしく、もちろんいきなり脱ぐことになるとは思っていない…。

しかし山田はどこまでも横柄に、
「状況的に着衣ではない」
「隠しはしないですよ?」
と、断言。ちょっと笑いそうになる。「やっぱ気になりますうー?」なとどほざく山下も役者だ。「そうなんですね…」と困る長澤。その横で神妙な面持ちの相手役は、ただの素人。

――まさか自身初のフルヌードのお相手が素人とは、長澤も夢にも思わなかっただろう。

■脱がない…のか?

Clipboard14「ここまでストーリーがわからない中で、それ(ヌード)が必要なのかわからない」

と、大女優・長澤まさみも清純派として、そんな戸惑いは見せる。基本的には「なし」なのだろうが、まあ、建前として、「今すぐには難しいかなぁ…」と消極的な態度を見せる。

それもそのはずで、こんなよくわからない素人相手に自身のフルヌードを捧げるなんて、突然のAV出演みたいな話である。そう思うと、山田の風体も、ちょっとそれっぽいし。

まあそんなこんなで、いったん、話は持ち帰り、という展開になり、後日、場所を東宝に移しての打ち合わせとなる。長澤VS山田・山下コンビの激しい攻防が繰り広げられる。

長澤「全裸が必要条件の一番だと言われたらお断りした方がいいのかも」
山田「一番ではない。一番は気持ち」
山下「この前のリハを見て逆に服が邪魔だと思った」

ふざけているのか、何なのか。もはやただの“脱がせ屋”と化した山山コンビは、本当にその業界の人みたいである。ドサクサに紛れて、「カンヌって、そういうやり方らしいですよ?」と、これがマジなら後から確実に問題になるような発言まで飛び出してくる――。

さらには、「一瞬」「ちらっと」「片方」など、「先っちょだけ」の類語みたいな言葉まで並べ立てて、逆に長澤に怪しまれてしまう。言えば言うほど彼らの言葉は説得力を失くす。

長澤「なんか身体だけなのかなーって」

そんなイイ感じの言葉を長澤から引き出したことは評価するが、残念ながら、念願かなわず、『山田孝之のカンヌ映画祭』で、素人相手の長澤まさみの全裸は実現しなかった――。

■「ナレーション」で出演する長澤まさみ

話し合いを終えて、それぞれに席を立つ面々たち。

山下「じゃあ」
長澤「すみません」
山下「よろしくお願いします」

と会話もかみ合わない。――しかし直後、「こうして、私が映画に出演することはなくなりましたが、流れでこの番組のナレーションは引き受けることになりました」と、長澤本人の声が入る。フルヌードは固辞したが、代わりにナレーションをやることになった様子。

さて、それで浮いてしまった「さちこ」役だが、なんと、「像」に代役をさせるというのだから、この番組、どこまでも人を食っている。なんと実験的すぎる“作品”なのか――。